このページでは、骨盤骨折の症状、治療と後遺障害についてご紹介いたします。
①症状と診断
straddle骨折やMalgaigne骨折の場合、骨盤の安定性が失われ、骨盤がぐらつきます。
単純XP撮影で骨折が確認できます。
②治療と後遺障害
骨盤骨折は、骨折の部位や状態で、腸骨翼骨折、恥骨骨折、坐骨骨折などに分類されます。
腸骨翼の骨折は単独骨折であっても骨盤腔内に大量出血を伴うことがあり、輸液・輸血にもかかわらず血圧が上昇しない場合は、ただちに内腸骨動脈造影を実施し、スポンゼルコイルを使用し両側内腸骨動脈の根元から血管塞栓術を実施します。
骨盤内臓器の副損傷を伴うケース、恥骨骨折と尿道損傷などでも同上の処置が取られます。
若い女性で骨盤の多発骨折の場合は、婦人科的に精査しておく必要があります。
骨盤の変形により、正常分娩が不可能で、帝王切開が余儀なくされることが十分に考えられ、後遺症として11級10号に該当する場合があります(出産が可能な年数について逸失利益が認められます)。
腸骨翼骨折(ドーヴァネイ骨折)・恥骨骨折・坐骨骨折などは、骨盤の安定性が保たれているので安静を保つだけで治ります。
しかし、骨盤の安定性が損なわれているstraddle骨折やMalgaigne骨折などの場合、キャンバス牽引により骨盤の安定性を確保し骨癒合を待ちます。
その他に、骨盤には大腿骨の寛骨臼があり、骨折がこの寛骨臼にまで及んでいる場合は、観血的に治療を行います。
大腿骨頭の納まる部分である、寛骨臼の損傷が激しい場合は、骨頭の置換術に止まらず、人工関節の置換術に発展する可能性が考えられ、股関節は10級11号が、骨盤は12級5号が認められ、併合で9級が認定される場合などが考えられます。